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法律コラム

こんにちは。世田谷用賀用賀法律事務所 代表弁護士の水谷です。
世の中で話題になっているニュースについて、法律に関わる部分で解説したいと思います。
近年、人材紹介会社を通じた採用が増えています。
特に医療・介護分野では、人手不足から人材紹介業に頼る企業も多くあり、トラブルも多く聞かれます。
年収の20%~30%もの紹介手数料が発生するケースもあります。
今回はこちらを題材にして、医療関連企業さま、もしくは、中小企業の経営者さまが注意すべき点を、弁護士の視点からお伝えしたいと思います。
人材紹介業は「職業安定法に基づく許可事業」である
人材紹介業すなわち有料職業紹介事業を始めるには、厚生労働大臣の許可が必須となります。
人材紹介では、求職者からは原則として手数料を徴収できず、求人企業から手数料を徴収することになります。
手数料は、上限制と届出制に分かれています。
上限制手数料とは、紹介した求職者が6か月間雇用された際の賃金の100分の10.8(免税事業者は10.3)を上限として徴収できるものですが、実務上はあまりとられていません。
届出制手数料とは、手数料の種類や金額などを手数料表にまとめて厚生労働大臣に届出をするもので、業界の主流はこちらになっています。
届出制手数料の額は、基本的に事業者が自由に決めることができます。求職者の理論年収×30~35%前後が相場となっていますが、専門職などでは40%以上になることもあります。
つまり、「紹介料が高い」こと自体は直ちに違法ではありません。
問題は、契約内容や説明義務違反、違約金条項の合理性にあります。
違約金について
一方、違約金については、手数料のような明確な上限規制は設けられていません。
国内の人材紹介契約においては、違約金の金額や内容について法律上の上限規制は存在せず、原則として当事者間の合意に委ねられています。
ただし、令和7年4月1日から、職業紹介事業の利用に関連して生じる違約金その他これに類するもの(求人者が負担する金銭等)については、その金額、発生条件、解除方法を含む契約内容を、求人者に分かりやすく明瞭、かつ正確に記載した書面や電子メール等で事前に明示する義務が課されています。
口頭やホームページの該当箇所を教示するだけでは適切な明示とは認められません。
違約金条項はどこまで有効か?
⑴ 契約自由の原則(民法)
原則として、企業間契約は自由です。
しかし、
• 公序良俗違反(民法90条)
• 信義則違反(民法1条2項)
• 消費者契約法(ただし、相手が個人事業主の場合)
などにより無効となる可能性があります。
(2)過大な違約金の問題
B to B取引の場合でも、違約金が著しく高額で合理性を欠く場合には、信義則等により無効と判断される可能性があります(東京地判平成28年7月26日等)。
裁判例では、
• 実際の損害との均衡
• 紹介会社の関与の程度
• 情報提供の実質性
などが考慮されます。
単なる「登録情報の閲覧」だけで高額成功報酬を請求することは、合理性を欠く可能性があります。
実際の裁判例では、求人サービス利用契約における違約金条項について、その合理性や金額の相当性が争点となり、合理性が認められれば有効とされています。
よくあるトラブル相談類型:違約金請求
違約金に関するご相談は、医療機関を中心に、日々よく寄せられます。以下は、そのトラブル類型です。
① 重複登録による違約金請求
複数の紹介会社に同一候補者が登録されており、
別会社経由で採用したところ違約金を請求されるケース。
② 不採用後の直接応募
紹介会社経由では不採用だった候補者が、
後日ハローワークや直接応募で採用となり、
紹介会社から成功報酬を請求されるケース。
③ 一定期間内の再応募制限条項
「○か月以内に採用した場合は成功報酬発生」といった条項。
手数料、違約金とも、「高い」=「違法」ではありません。
問題は、
• 事前説明の有無
• 契約書の明確性
• 返金規定の合理性
• 違約金の範囲
であることに注意が必要です。
中小企業・医療関連企業の経営者さま向け、確認ポイント
弁護士としては、以下を強く推奨します。
① 契約書の条項確認
• 成功報酬発生時点
• 再応募条項
• 返金規定(短期退職時)
• 違約金の算定方法
② 採用経路の記録管理
• 応募日
• 紹介元
• 採用決定日
• 面接記録
③ ハローワークとの併用検討
無料職業紹介(ハローワーク)も法的に整備された制度です。
コスト比較をした上での判断が重要です。
紹介会社との紛争になった場合には、以下の法的論点が争点になります。
• 契約成立の有無
• 候補者情報の同一性
• 紹介行為と採用の因果関係
• 違約金の過大性
人材紹介サービスは有用な制度ですが、
• 契約内容の精査
• 採用経路の管理
• 条項の合理性検討
を怠ると、高額な紛争リスクを負います。
経営者の方は、「とりあえず契約」ではなく、法的視点での事前チェックをおすすめします。
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