マンション法改正の備えて、管理組合がすべき準備について | 法律コラム | 弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

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2026.01.25 | Vol.316

マンション法改正の備えて、管理組合がすべき準備について

【第3回】世田谷区の具体的事例と条文の抜粋

こんにちは。

世田谷用賀法律事務所の藤間です。


私は世田谷区を中心に、マンション管理組合・区分所有不動産に関する法務(総会運営、管理規約改定、役員・管理会社対応、紛争対応、再生局面の整理など)に携わっています。

 

今回の連載は、2026年4月1日施行(令和8年4月1日施行)の区分所有法改正を前提に、マンション管理の現場で「何を、どう直すべきか」を、管理組合実務の目線で整理するものです。


第3回は、管理組合運営の根幹である「総会決議」の変化に伴い、特に世田谷区を例に実務対応を整えておくべき点を挙げました。


また、記事最後には改正後条文の抜粋と、序文の言い換えも掲載していますので、こちらもご確認ください。

 

世田谷区のマンション管理組合が、施行前にやるべき準備

マンション改正を“知っている”だけで終わらせず、総会決議の安定性を上げるための実務対応を整理します。


(1)総会の「定足数」条項を点検する


普通決議が出席者基準になる以上、規約に定足数の定めがない場合は、理屈上、ごく少数の出席でも決議が成立し得ます。


多くの管理組合は規約で定足数を置いていますが、条文の表現・運用(議決権行使書を含むか等)を含めて再点検が必要です。

 

(2)招集通知と「議案の要領」の型を作る


施行後の総会では、通知の書き方次第で決議が不安定になります。


議案別に、最低限書くべき要素(目的、範囲、費用、負担区分、スケジュール、リスク、代替案)をテンプレ化しておくと、役員交代があっても品質が落ちません。

 

(3)委任状・議決権行使書の回収プロセスを設計する


出席者基準では「回収できた意思表示」が武器になります。


配布、督促、締切、到達確認、保管(後日の争いに備える)までを、管理会社任せにせず、管理組合側のルールとして決めておくべきです。

 

(4)共有名義・相続未了・所在不明の棚卸し



頭数・議決権の計算に直結します。


総会の直前に発覚するとリカバリーが効きません。名簿整備と、必要に応じた手続(相続、連絡先確保、裁判手続の検討)を前倒しで行いましょう。

 

世田谷区のマンション弁護士としての一言

改正後の総会決議は、単に「要件が緩和された」という話ではありません。


出席者基準に変わる以上、総会の設計と証拠の残し方(通知、説明資料、回収、集計)が、決議の安定性を左右します。

 

世田谷区でマンション管理組合の総会運営や、管理規約の改定、決議の有効性が気になっている場合は、総会前に一度、議案と手続を法的に点検することをおすすめします。


総会後の紛争対応より、事前設計の方がコストも時間も抑えられます。

 

改正後条文の抜粋と、序文の言い換え

【1】第三十九条(議事)

(改正後条文・抜粋)

「集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。」


「議決権は、書面又は代理人によつても行使することができる。この場合において、書面又は代理人によつて議決権を行使した区分所有者の数は出席した区分所有者の数に、当該議決権の数は出席した区分所有者の議決権の数に、それぞれ算入する。」


「区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によつて議決権を行使することができる。


この場合においては、電磁的方法による議決権の行使を書面による議決権の行使とみなして、同項後段の規定を適用する。」

 

(言い換え)

普通決議は原則として「出席者(委任状・書面投票を含む)」を分母にして、頭数と議決権の両方で過半数を取れば成立します。規約や総会決議で、書面投票の代わりに電子投票も可能です。

 

【2】第三十一条(規約の設定、変更及び廃止)

(改正後条文・抜粋)

「規約の設定、変更又は廃止は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の過半数…の者であつて議決権の過半数…を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議によつてする。」

 

(言い換え)

規約改定は、まず総会が「頭数過半数+議決権過半数」の出席を満たした上で、出席者ベースで3/4を取る必要があります。

 

【3】第三十八条の二(所在等不明区分所有者の除外)

(改正後条文・抜粋)

「裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは…一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。」

「前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は…集会における議決権を有しない。」

 

(言い換え)

所在等不明者がいる場合、裁判所の手続でその人を“決議から外す”ことができ、外された人は(その決議では)議決権がない扱いになります。

 

【4】第三十五条(招集の通知)

(改正後条文・抜粋)

「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項及び議案の要領を示して、各区分所有者(議決権を有しないものを除く。)に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。」

 

(言い換え)

総会の招集通知は原則1週間前まで。通知には“目的”だけでなく“議案の要約(要領)”が必要です。規約で延ばすことはできても、短縮する方向には寄せにくくなります。

 

【5】第四十条(議決権行使者の指定)

(改正後条文・抜粋)

「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。」

 

(言い換え)

共有名義の住戸は、持分割合(価格)ベースで過半数を取って、議決権を行使する代表者を決める必要があります。


参考公的資料等

  • 国土交通省「住宅:マンション関係法令」(改正概要・新旧対照表を掲載)
  • 国土交通省「新旧対照表(令和7年改正)」
  • 国土交通省「令和7年マンション標準管理規約改正の概要」
  • 国土交通省(令和8年4月1日施行部分等に関する公表)
  • 参議院(法律案要旨:所在等不明区分所有者の議決権等に言及)
 

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