「離婚前提」と聞かされ慰謝料150万円を払ったのに復縁…返還されるのか | 法律コラム | 弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

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2025.10.08 | Vol.304

「離婚前提」と聞かされ慰謝料150万円を払ったのに復縁…返還されるのか

【代表コラム】

こんにちは。代表弁護士の水谷です。


今回は弁護士ドットコムで取材された記事から、再編集してお届けしたいと思います。



ご相談の女性は、不倫相手の妻から「あなたのせいで家庭が崩壊した」「別居もしている」などと責められ、慰謝料150万円を支払いました。


条件には「離婚前提」「夫への求償権放棄」「夫への接触禁止」などが含まれており、一括で支払いを済ませたといいます。


ところが最近になって、夫婦は離婚どころか、その後に同居を再開していたことが判明。


女性は「私だけが慰謝料の支払いをしただけということになり、納得できない」と憤りを感じています。


では、このような場合、支払ったお金を返してもらえる可能性はあるのでしょうか。

 

慰謝料は返還してもらえるのか

「離婚前提」という条件で示談書に合意したものの、その前提が違った場合、慰謝料を返してもらえるのでしょうか。


非常によくあるケースだと思いますが、結論から言うと返還は「難しい」です。


不貞慰謝料は「婚姻関係がどの程度破綻しているか」に応じて金額が決まります。


婚姻関係が完全に破綻した離婚や別居に至ったケースと、いわゆる「元サヤ」に戻るケースでは、慰謝料の水準は異なります。


そのため、「破綻していないなら150万円も払う必要がなかった」と思うのは当然でしょう。


しかし、不貞慰謝料の支払いに関する示談は、民法上の「和解契約」にあたります。


和解には「確定効」と呼ばれる効力があり、一度合意すれば「争点となっていた事実が実際とは異なった」ことがわかったとしても、その効力を覆すことはできないのです。


つまり、「婚姻がどれだけ破綻していたか」こそが、不貞慰謝料の「争点そのもの」である以上、その事実が思惑と違っていたとしても、示談を覆すことはできません。


「離婚前提」と聞いたとはいえ、離婚は離婚届を出すそのときまで成立はしませんし、そのときに離婚をめぐって話し合いをしていて「気をとり直してやり直す」ということはありえます。

 

どんな場合なら、示談を取り消すことができるのか

では、どんな場合なら示談を取り消すことができるのでしょうか。


「和解の基礎になっていたが、争いの対象にはなっていなかった事項」が真実に反することがわかった場合は「錯誤」による取り消しができます。


たとえば、「離婚した」と言われて、偽造した離婚届や戸籍を見せられて示談したという場合です。


これは離婚していることを前提に合意したので、詐欺や錯誤が成立し、示談を取り消すことができます。


一方で、「離婚前提」と言われただけで示談したのであれば、詐欺・錯誤の取り消しは難しいでしょう。


 

刑事責任を問うことは「難しい」

相談者は「美人局ではないか」とも感じているようですが、詐欺などの刑事責任を追及することは可能でしょうか。


「離婚するつもり」と告げられたにすぎない場合、その時点の気持ちを表したものにすぎず、刑事責任を問うことは難しいでしょう。


「別居中だ」と言われても、実際に何日別居していたか・同居していたかの証拠収集が難しく、警察が動くことはないと思われます。


ただし、虚偽の離婚届や戸籍を提示していたなら、私文書の偽造・行使、公文書の偽造・行使にあたり、それ自体が犯罪となりますし、さらに金銭を支払わせていれば、詐欺罪が成立する余地はあると思われます。


 

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