COLUMUN
法律コラム

代表弁護士の水谷です。
2015年の開業以来、さまざまなご夫婦のご相談を受けてまいりました。
ひとしきりのことはこれまでにコラムの中で取り扱わせていただいたたいだと思います。
また、検索エンジンだけではなくAIツールも発達し、多くのことはインターネットでどんどん調べられるようになった昨今。
それでも、離婚のご相談で弁護士からすれば「え、そんなこと?」と思われるご質問は繰り返されているように思います。
お悩みの多い多くのそのような事柄は、実はなかなか調べても出てこないもの。
離婚相談の現場でよくあるご相談をご紹介していこうと思います。
母性優先の原則?
「父親の私には、親権は無理ですよね」
「やっぱり母親だから(親権に)有利ですよね」
こういうご質問、よくあります。
たしかに、お母さんが親権者になる事案が多いのは事実。
でもそれは、「母が有利だから」という理由からではありません。
親権者の決定=監護の実績
であるからなのです。
「母性優先の原則」といわれる、母親が監護者であることを前提として母親を優先的に親権者にする思想は、すでに失われていると思います。
子育ての実績が父母ともに同レベルの場合は、「父だから」という理由であきらめる必要はない時代になりました。
それでも、いくつか父親側には難しい場合があります。そのいくつかをご紹介します。
困難例①:赤ちゃん(乳飲み子)の場合
乳飲み子の場合、生物学的に授乳が母によって行われることがほとんどで、そのためにおむつ替え、入浴といった生命維持のために役割を、母親側がメインで果たすことが多くなります。
この側面に限っては「母性優先」ともいえるでしょう。
困難例②:連絡ノート・母子手帳上に出てくるのが、母中心である場合
その後の子育てでは、日々の送迎、食事、入眠、体調不良時の対応、園・学校との連携…とさまざまなことが必要になってきます。
これらのさまざまな局面で果たす役割の比重によっては、父の果たす部分が母の果たす部分に匹敵するケースがあります。
このような場合では、家庭裁判所も、父であるからといって端から親権者性を否定することはなく、どちらが監護の割合を多く担っているか、慎重に調査をします。
「父親だから無理」ということでもないし、「母親だから有利」ということでもないのです。
それでも、学校や園、医療機関との連携を母親側が多く担っている家庭はまだまだ多いもの。
家庭裁判所での審査は、園・学校との連携の記録(連絡ノート・通知表など)や、母子手帳といった、記録が残るものを対象とすることが多いため、これらの記録に出てくるのが母メインであったりすると、監護、親権者を母側とする判断に傾きやすいでしょう。
困難例③:現時点では母が子の面倒を見ている場合
親権者の決定≒監護権者の決定となり、監護者の決定はとにかく「現時点での監護の状態」を尊重して行われます。
そのために、現時点でお子さんが母(父)の元で生活をしている場合、それに特段の問題がなければ、やはりこれを覆す判断は、まだまだ難しいのが現状です。
共同親権導入まであと1年
共同親権制度導入まで、あと1年となりました。
子どもを大切に思う両親が「親権」というものをめぐって争う事例が減り、「合意のもと」で共同親権を設定できる事案が増えることを願います。
ただし、今回設定される共同親権は、民法819条1項・2項が
「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定めなければならない」
「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方又は一方を親権者と定める」
とされたとあり、あくまで「選択的」なもの。
つまり、当事者が合意のもとで共同親権の合意を選択することはできますが、父母で親権に争いのある事案を「原則全件共同親権」とするものではないのです。
これまで監護の分担の比重をめぐって争われてきた事案について、果たしてどんな判断がされるようになるのかは、私たち弁護士にもまだ未知数です。
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