COLUMUN
法律コラム

代表弁護士の水谷です。世の中で取り沙汰されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
日本大学のアメリカンフットボール部の寮から、大麻と覚せい剤が発見されたのにもかかわらず、林真理子理事長が「一切ない」と発言した件。
同じ文章を書く立場でも、やはり小説家なのかな、と思わず思ってしまいました。
弁護士であれば、「一切ない」のではなく「一切把握していない」とか「一切詳細はわからない」とか、嘘にはならないことを言ったところでしょう。
それにしても、大学側は記者会見の準備にあたって、十分に準備をしただろうかと心配になってしまいました。
タックル問題や元理事長の脱税問題などを受けて、鳴り物入りで就任した林真理子理事長の会見だけに、少し残念でした。
この件について、弁護士としての見解をお話ししたいと思います。
検挙数が増えている薬物事犯。処罰の重さの違いについて
どれだけ取り締まりが強化されても、なかなか減らないのが薬物事犯です。
薬物検挙事案は平成29年から年間2500件程度を推移しています。
10代の検挙数も上昇しています。
薬物と一言に言っても「覚せい剤」、「麻薬(ヘロイン、コカインを含む)」、「大麻」とその種類ごとに処罰の重さは区別されています。
懲役刑の重さで言っても、営利目的ではない単純所持で、
・覚せい剤は「10年以下」
・麻薬所持は「7年以下(ただしジアセチルモルヒネ等=ヘロインは10年以下)」
・大麻所持は「5年以下」
と、次第にその重さが区別されています。
当然これは依存性の大きさによって区別されたものです。
特に10代に広がっているのが罪状の比較的軽い大麻で、外国では合法としているところもあるとか、アルコールよりも依存度は低いとか、さまざまな言い訳がされながらじわじわと蔓延していると言われています。
今回の日大の事件では、この比較的罪状の軽い大麻のみならず、同時に覚醒剤もが発見されていましたから、特に事態は重大なものとなりました。
大麻所持は罰せられて、大麻使用が罰せられない理由
なお、「覚せい剤」「麻薬」いずれも、当然「所持」の罪のみならず「使用」も同じ刑罰の重さで処罰されます。
ところが、現状の大麻取締法では、なんと「大麻」は、「所持」は処罰されても「使用」は処罰されないことになっています。
これは、大麻の使用が「合法」だからではない、というのが重要なことです。
今の尿検査では、大麻の陽性反応が出たとしても、それが規制対象である大麻成分(テトラヒドロカンナビノール)を含んでいるのかどうかがわからないから。
わからないのに、「含んでいるかもしれない」という理由で罰することはできないから、罰さないとしているだけです。
若者への大麻の広がりを受け、現在、この有害成分のみを規制する方向で大麻使用罪を設けることが検討されており、本年にも新設される見込みもあるそうです。
日大の件が議論に活性化につながるかもしれませんね。
ヘロイン依存の患者を描いた映画として、ミラ・クニス主演の「フォー・グッド・デイズ」というものがあります。
薬物が本人だけではなく家族をも巻き込むものであることを描いた印象深い映画です。よかったらぜひ。
お困りごとは弁護士へ相談ください
弊所では弁護士事務所には珍しい、オンライン予約システムを導入しております。
サロン予約のように、ご希望の相談メニューとご都合の良いお時間帯をお選びいただけると好評です。
こちらのページにあります「ご予約・お問い合わせはこちら」よりご予約ください。
もちろん、お電話でもご予約承っております。お電話での弁護士へのご相談は…℡03-3709-6605
法律的な見解はもちろんですが、さらにその一歩、相談者さまの人生に寄り添った形でお話させていただいております。ご相談がありましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。
- 「共同親権」(共同監護)のこと
- 養育費不払い問題、民法改正なるか?
- 面会交流「会わせたくない」「会わせてくれない」が錯綜する理由
- 弁護士が家事事件をあつかう、ということ
- 離婚時に父親が親権をとる、その理由とは
- 長引くコロナ禍、結婚式キャンセルに関する新たな業界指標が発表
- 子の父を決める「嫡出推定」の民法改正について。離婚弁護士がこれまでの矛盾を解説
- 140年ぶりの民法改正。弁護士が読み解く「18歳成人の春」はいかに
- 葬儀費用は誰が出すのか? 遺産から負担できるのか
- 「不倫」と社会的・法的責任について。「既婚男性との間で妊娠」で社長辞任…の衝撃
- 「テラスハウス」の事案にみる、名誉棄損と侮辱について
- 法律で考える、ジャニーズ元社長の「性加害」問題
- W(ダブル)不倫は珍しくない?! 身の回りで起こってしまった時、慰謝料請求で注意すべき点とは
- 知っているようで知らない「ストーカー規制法」について
- 「ストーカー規制法」警察に動いてもらうためにも、弁護士に相談したほうがいい理由
- 逆転勝訴から考える、「性自認」と「性的指向」の話
- 東京家裁、福原愛さんの「子の引き渡し」審判から読み解く「共同親権」について
- ビッグモーター社事件で感じる違和感と、刑事・民事の責任の所在とは
- 日大アメフト部の薬物事件をめぐって、法律家の見解
- ハル・ベリーの離婚がから考える、双方が平等に監護する「交代監護」とは
- 「共同親権」導入に向けて、法制審議会にて一歩前進
- 法律で考える、ジャニーズ元社長の「性加害」問題・続編
- 日本での「無戸籍問題」をめぐって
- ジャニーズ「社名変更」なるも、法人格は「そのまま」という事情
- 「性同一性障害」の手術要件で、最高裁の下した判決について
- 「面会交流アプリ」利用について、離婚弁護士が思うこと
- 芸能人のスキャンダルと週刊誌報道、「名誉毀損」について
- 共同親権、国会への法案提出見込み
- サッカー日本代表選手の性加害疑惑について、法律家の思うところ
- 「共同親権」の導入、民法改正案を閣議決定か
- 福原愛さん、子どもの監護「共同親権」で和解か
- 2024年4月1日から義務化された「合理的配慮」とは。具体的事例を交えて法律解説
- 共同親権を認める民法改正案が、参院で審議入り
- 「2024年問題」で運送業界はどうなる?事業者側の対応策について
- ついに「共同親権」法案公布。施行は2026年5月までに
- 同性婚のカップルの子の親子関係を認めた初判決について
- 役員の退職金と退職金支給規程について〜宮崎テレビ最高裁判例〜
- 松本さんの名誉棄損訴訟、取り下げに。弁護士による見解解説
- 中居さんスキャンダルからみる「日弁連ガイドライン」の「第三者委員会」とは
- 中居氏とフジテレビ問題、第三者委員会報告書と守秘義務解除について
- 共同親権導入まであと1年。親権者の決定は「監護の実績」の有無で決まる
- 2025年
- 2024年
- 2023年
- 2022年
- 2021年
- 2020年
- 2019年
- 2018年
- 2017年
- 2016年
ご予約・お問い合わせ・オンライン相談
「事業や人生に寄り添った仕事がしたい」
そんな熱い思いを胸に全力を尽くして
取り組んでおります。
まずはお気軽にご相談くださいませ。