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法律コラム

こんにちは。
世田谷用賀法律事務所の藤間です。
私は世田谷区を中心に、マンション管理組合・区分所有不動産に関する法務(総会運営、管理規約改定、役員・管理会社対応、紛争対応、再生局面の整理など)に携わっています。
今回の連載は、2026年4月1日施行(令和8年4月1日施行)の区分所有法改正を前提に、マンション管理の現場で「何を、どう直すべきか」を、管理組合実務の目線で整理するものです。
第2回は、管理組合運営の根幹である「総会決議(区分所有法上は『集会の決議』)」がどう変わるかを取り上げます。
世田谷区のマンション管理組合でも、決議の母数(誰を分母にするか)や、委任状・議決権行使書の扱いが原因で、後から紛争化するケースが少なくありません。
マンション改正を機に、決議の組み立てを一度、法的に点検しておくべき局面です。
総会決議は「全員基準」から「出席者基準」へ
今回の改正の核心は、総会(集会)の意思決定について、欠席者・無関心層を分母に固定したまま合意形成を図る設計から、実際に意思表示した出席者(委任状・議決権行使書等を含む)を分母とする設計へ、重心が移った点です。
これにより、たとえば
「通常の修繕」「管理委託の見直し」「運営上のルール整理」
など、区分所有権の処分を伴わない管理局面の決議は、成立させやすくなります。
一方で、出席者が少ない総会で重要事項が決まり得るため、総会の設計(定足数、周知、議案説明、意思表示の回収)がこれまで以上に重要になります。
普通決議⚫︎原則は「出席者(+議決権)の過半数」
改正後は、集会の議事(総会決議)は、法律や規約に別段の定めがない限り、
「出席した区分所有者」と「出席者の議決権」を基準にして過半数で決する、
という枠組みに変わります。
ここで重要なのは、「出席」の中身です。
委任状(代理人)や、議決権行使書(書面)は、改正後も出席としてカウントされます。
つまり、当日出席が少なくても、事前回収が十分であれば、分母(出席者数・出席議決権数)が膨らみ、決議の正当性も高まります。
総会運営としては
「当日出席を増やす」だけでなく、「事前の意思表示を取り切る」
ことが、これまで以上に効いてきます。
また、改正後は、規約または集会決議により、書面に代えて電磁的方法(オンライン等)で議決権を行使できる旨も明確になります。
実務上は、電子投票を導入する場合、本人確認、締切、改ざん防止、保存方法(後日の検証可能性)まで含めて設計しないと、むしろ紛争リスクを上げます。
導入の可否は、規約と運用体制をセットで検討すべきです。
特別決議⚫︎3/4の「分母」が変わる「定足数」が法律上も重要に
マンション管理で揉めやすいのは、規約改定、共用部分の「変更」、大きな工事の意思決定など、いわゆる特別決議領域です。
改正後は、特別決議の多くが「出席者の3/4」へ寄せられます(すべてが一律ではありませんが、方向性としてはここがポイントです)。
象徴的なのが、管理規約の設定・変更・廃止の決議要件です。
改正後は、
- 区分所有者(頭数)の過半数(※規約で上げることは可能)が出席
- 議決権の過半数(※規約で上げることは可能)を有する者が出席
- 出席した区分所有者および出席議決権の各3/4以上
という「二段構え」になります。
要するに、
いきなり“出席者の3/4”で足りるわけではなく、まず総会として成立させるための定足数(頭数・議決権の各過半数)を満たした上で、3/4に到達させる
必要があります。
この構造を理解していないと、当日
「議決権は足りているのに頭数が足りない」「頭数は足りているのに議決権が足りない」
といった事態が起き、議案が成立しません。
世田谷区のマンションをはじめ、意識しておくべきこと
特に世田谷区のマンションでは、
- 複数戸所有者がいる
- 法人所有が混じる
- 相続発生後に共有になっている
といった事情が珍しくありません。
この場合、頭数・議決権の両方で過半数を組み立てる作業が、これまでよりシビアになります。
さらに重要なのは、古い管理規約のまま運用していると、決議要件の読み替えを誤り、決議の効力を争われやすい点です。
改正法施行後は、区分所有法に抵触する規約条項が効力を失う(失効する)という整理が前提になります。
総会運営上は「規約にそう書いてあるから旧要件で良い」とはならず、法と規約の優先関係を踏まえた運用が必要です。
総会招集通知⚫︎全議案「議案の要領」が必須、「短縮」は不可に
総会決議の有効性は、決議要件だけでは決まりません。
- 実務では、招集通知の内容不備、議案説明不足、手続違反が火種になります。
改正後は、招集通知について、
- 会日より少なくとも1週間前
- 会議の目的たる事項だけでなく「議案の要領」も示す
という基本線が明確になり、さらに期間については「規約で伸長できる」一方で、短縮は想定されない設計になります。
管理組合としては、通知の「形式」を整えるだけでなく、紛争予防として、
- 議案の要領を「賛否判断ができる程度」に具体化する
- 費用負担や工事範囲、影響範囲(専有部への立入等)がある場合はその前提を明示する
- 比較検討資料(見積比較、仕様差、リスク説明)を添付する
といった「説明責任の実装」が、決議の安定性に直結します。
次回は、具体的に世田谷区を例にマンション管理事務所がやるべき準備と、改正後の条文の抜粋と序文の言い換えをお伝えしますので、シリーズ第3回をご確認ください。
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