マンション法改正で「総会決議」が変わる | 法律コラム | 弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

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2026.01.25 | Vol.315

マンション法改正で「総会決議」が変わる

【第2回】改正区分所有法で「出席者基準」が原則に

こんにちは。

世田谷用賀法律事務所の藤間です。


私は世田谷区を中心に、マンション管理組合・区分所有不動産に関する法務(総会運営、管理規約改定、役員・管理会社対応、紛争対応、再生局面の整理など)に携わっています。

 

今回の連載は、2026年4月1日施行(令和8年4月1日施行)の区分所有法改正を前提に、マンション管理の現場で「何を、どう直すべきか」を、管理組合実務の目線で整理するものです。


第2回は、管理組合運営の根幹である「総会決議(区分所有法上は『集会の決議』)」がどう変わるかを取り上げます。


世田谷区のマンション管理組合でも、決議の母数(誰を分母にするか)や、委任状・議決権行使書の扱いが原因で、後から紛争化するケースが少なくありません。


マンション改正を機に、決議の組み立てを一度、法的に点検しておくべき局面です。

 

総会決議は「全員基準」から「出席者基準」へ

今回の改正の核心は、総会(集会)の意思決定について、欠席者・無関心層を分母に固定したまま合意形成を図る設計から、実際に意思表示した出席者(委任状・議決権行使書等を含む)を分母とする設計へ、重心が移った点です。

 

これにより、たとえば


「通常の修繕」「管理委託の見直し」「運営上のルール整理」


など、区分所有権の処分を伴わない管理局面の決議は、成立させやすくなります。


一方で、出席者が少ない総会で重要事項が決まり得るため、総会の設計(定足数、周知、議案説明、意思表示の回収)がこれまで以上に重要になります。

 

普通決議⚫︎原則は「出席者(+議決権)の過半数」

改正後は、集会の議事(総会決議)は、法律や規約に別段の定めがない限り、


「出席した区分所有者」と「出席者の議決権」を基準にして過半数で決する


という枠組みに変わります。

 

ここで重要なのは、「出席」の中身です。


委任状(代理人)や、議決権行使書(書面)は、改正後も出席としてカウントされます。


つまり、当日出席が少なくても、事前回収が十分であれば、分母(出席者数・出席議決権数)が膨らみ、決議の正当性も高まります。


総会運営としては


「当日出席を増やす」だけでなく、「事前の意思表示を取り切る」


ことが、これまで以上に効いてきます。

 

また、改正後は、規約または集会決議により、書面に代えて電磁的方法(オンライン等)で議決権を行使できる旨も明確になります。


実務上は、電子投票を導入する場合、本人確認、締切、改ざん防止、保存方法(後日の検証可能性)まで含めて設計しないと、むしろ紛争リスクを上げます。


導入の可否は、規約と運用体制をセットで検討すべきです。

 

特別決議⚫︎3/4の「分母」が変わる「定足数」が法律上も重要に

マンション管理で揉めやすいのは、規約改定、共用部分の「変更」、大きな工事の意思決定など、いわゆる特別決議領域です。


改正後は、特別決議の多くが「出席者の3/4」へ寄せられます(すべてが一律ではありませんが、方向性としてはここがポイントです)。

 

象徴的なのが、管理規約の設定・変更・廃止の決議要件です。


改正後は、


  • 区分所有者(頭数)の過半数(※規約で上げることは可能)が出席
  • 議決権の過半数(※規約で上げることは可能)を有する者が出席
  • 出席した区分所有者および出席議決権の各3/4以上


という「二段構え」になります。

 

要するに、


いきなり“出席者の3/4”で足りるわけではなく、まず総会として成立させるための定足数(頭数・議決権の各過半数)を満たした上で、3/4に到達させる


必要があります。


この構造を理解していないと、当日


「議決権は足りているのに頭数が足りない」「頭数は足りているのに議決権が足りない」


といった事態が起き、議案が成立しません。

 

世田谷区のマンションをはじめ、意識しておくべきこと

特に世田谷区のマンションでは、


  • 複数戸所有者がいる
  • 法人所有が混じる
  • 相続発生後に共有になっている


といった事情が珍しくありません。


この場合、頭数・議決権の両方で過半数を組み立てる作業が、これまでよりシビアになります。

 

さらに重要なのは、古い管理規約のまま運用していると、決議要件の読み替えを誤り、決議の効力を争われやすい点です。


改正法施行後は、区分所有法に抵触する規約条項が効力を失う(失効する)という整理が前提になります。


総会運営上は「規約にそう書いてあるから旧要件で良い」とはならず、法と規約の優先関係を踏まえた運用が必要です。

 

総会招集通知⚫︎全議案「議案の要領」が必須、「短縮」は不可に

総会決議の有効性は、決議要件だけでは決まりません。


  • 実務では、招集通知の内容不備、議案説明不足、手続違反が火種になります。

 

改正後は、招集通知について、


  • 会日より少なくとも1週間前
  • 会議の目的たる事項だけでなく「議案の要領」も示す


という基本線が明確になり、さらに期間については「規約で伸長できる」一方で、短縮は想定されない設計になります。

 

管理組合としては、通知の「形式」を整えるだけでなく、紛争予防として、


  • 議案の要領を「賛否判断ができる程度」に具体化する
  • 費用負担や工事範囲、影響範囲(専有部への立入等)がある場合はその前提を明示する
  • 比較検討資料(見積比較、仕様差、リスク説明)を添付する


といった「説明責任の実装」が、決議の安定性に直結します。


次回は、具体的に世田谷区を例にマンション管理事務所がやるべき準備と、改正後の条文の抜粋と序文の言い換えをお伝えしますので、シリーズ第3回をご確認ください。

 

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