弁護士と読む時事ニュース ストーカー規制法改正と川崎の報告書について | 法律コラム | 弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

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2025.09.08 | Vol.301

弁護士と読む時事ニュース
ストーカー規制法改正と川崎の報告書について

【代表コラム】

代表弁護士の水谷です。


世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。


先月、神戸市中央区のマンションで女性が殺害されました(参考資料:読売新聞)。


加害者とされる男性は、数年前にも同市内の女性に付きまとったり、女性の自宅マンション付近をうろつくなどしたとして逮捕され、後に罰金の略式命令を受けたといいます。

 

ストーカーの末に女性が殺害される惨劇は、昨年12月、川崎市でも同様の事件があったばかりです。


このニュースについて弁護士としての見解をお伝えしたいと思います。

 

川崎ストーカー事件検証報告書

川崎の事案については過去に記事にさせていただきました(過去記事はこちら)。


神奈川県警が、事件から半年強がたった9月4日、「神奈川県川崎市内におけるストーカー事案等に 関する警察の対応についての検証結果等報告書」を出しました。


警察がこのような報告書を一般に発信するのは異例といっても過言ではありません。

 

被害者が最初に警察に相談してからつきまといが本格化するまで、被害者の失踪、親族からの申告といった一連の時系列がつぶさに記されています。


そして、その中では、地域の警察官から生活安全課、相談を受けていた生活安全課から刑事課への連携が不足していた、ということが結論づけられています。


男女の事案については、ただちに刑事事件化するわけでないこともあり、当初は交番のレベル、警察署の生活安全課のレベルで対応がされることがほとんどです。


川崎の事案では、捜査をし、加害者の逮捕に踏み切る権限をもつ刑事課との連携がうまくはかられなかったことが原因です。

 

ストーカー規制法、被害者の申告不要に

川崎、神戸と続いた痛ましい事件を受け、同じくこの9月、ストーカー規制法について、加害者への「警告」に被害者からの申し出を必要とせず、警察の職権でただちに「警告」ができるようにする改正が検討されていることが発表されました(参考資料:読売新聞)。

 

ストーカー規制法は、「被害者の申告」→警察からの「警告」(やめるように促す)→「禁止命令」(拘束力を持って、つきまといを禁止する)→それに違反したら懲役・罰金の刑罰、というステップを踏むことを基本としています。


法改正で「警告」のステップを経ないで「禁止命令」が出せるようになっていますが、いずれにしても被害者の申告を待ち、証拠の収集を前提とするため、迅速性に欠けることが問題視されてきました。

 

川崎の事案の報告書でも、昨年11月から12月の間に、被害者からの電話相談を受けながら、その間に被害者と加害者から「復縁」の申立てがあったことから、それにより警察が手をこまねいた可能性があることが記されています。

 

法律相談の現場から

被害者は加害者に対して恐怖心を抱くあまり、警察に申告したら恨まれてしまうかもしれない、という気持ちを持つことが多くあります。


弊所のような法律事務所でも、別れ話のもつれから、男女の一方が執拗に他方に連絡をしたり、自宅を訪ねたりするようになり、困り果ててご相談にいらっしゃる方に多く接します。


皆さん一様に「警察や弁護士に介入してほしい。でも、恨まれて逆上されたらどうしよう」とおっしゃいます。


そうでなくても「警察が絡んだらかわいそうだ」というものも。


これまでの主従の関係で、考え方の癖がついてしまっているケースもあります。

 

今回のストーカー規制法の法改正案は、痛ましいニュースが続いたことを受けてのものなだけでなく、男女の事案でのこのような特性を見据えたものだと思われます。


いつ導入されるか、導入されたとして実際に警察が被害者の意思と離れて警告に踏み切ることができるのか、その動向が気になるところです。

 

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