COLUMUN
法律コラム

葬儀について、故人の意向はどれほど反映されるの?
代表の水谷です。
おりしも、安倍元総理の国葬で、都内の道路は規制され、鉄道のごみ箱は封鎖されています。
エリザベス女王、安倍元総理・・・ここのところ、大きな葬儀のニュースが続きましたので、
今日はちょっと葬儀について考えてみたいと思います。
冒頭の例は世界の中でももっとも盛大な葬儀の一つですが、
一般の方が、葬儀は「密葬」にしてください、とか、「家族葬」にしてくださいとか、故人が遺言に記載した場合、
これ自体は法的な拘束力をもつのでしょうか。
答えは、「否」。
遺言とは、相続財産の帰属の在り方について指定するものですので、それについてのみ法的な拘束力が生まれます。
したがって、自分の葬儀をどうしてください、というような内容は本来は「付言事項」といって、それ自体は拘束力をもたないことになります。
ただし、葬儀は「喪主」(慣行上は、配偶者か長男、とされてきました)が執り行うものですので、
その「喪主」が故人の意向を汲むことが多いかと思います。
葬儀費用は、相続人皆で負担するの?
葬儀費用に関する争いは、相続をめぐるやり取りの中でよくあります。
葬儀費用は、相続人皆で負担するのでしょうか?
葬儀費用は、故人の相続財産から出していいのでしょうか?
この答えも、原則は「否」。
かつては、葬儀費用は相続財産から、とする裁判例もありましたが、
葬儀費用は生前の故人の債務ではない(故人の死後の喪主の債務である)ことを理由に、
これを否定する裁判例が主流になっています。
もっとも、相続人全員の合意で、遺産分割として、葬儀費用を相続財産から支出することは可能です。
実際の遺産分割の実務でも、少なくともお通夜から葬儀までの費用については、一旦は喪主が支弁したとしても、
相続財産から精算することが多いです。
葬儀費用は、本来「喪主」負担なのです。
一方で、相続人の全員の合意により、
被相続人の葬儀代(葬式費用)は、被相続人の死亡後に発生するものです。相続は債務を含めて、被相続人が生前に有していた財産に限ります。簡単に言ってしまえば、死後に発生する葬儀代は相続人が相続する債務ではありません。そのため、葬儀代(葬式費用)は相続財産ではなく、相続の対象とはなりません。よって、各相続人が当然に相続し分担して支払わなければならない性質ではありません。
これは、相続税の申告上、
葬式費用となるものとして、
(1) 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用)
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
そ遺産総額から差し引くことが認められていることとも関連します。葬式費用は、通常次のようなものです。
納骨費用は相続財産から出せるの?
一方、相続税の申告上も、
(1) 香典返しのためにかかった費用
(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 初七日や法事などのためにかかった費用
は、遺産総額から差し引くことはできないとされます。
つまり、葬儀・火葬以降の、納骨、法事に関する費用は引けない、ということです。
そのため、遺産分割の実務上も、納骨、法事に関する費用は、
特段の協議でもない限り、相続財産から出すのではなく、あくまで喪主負担となることがほとんどです。
案外争いの種ともなる葬儀、祭祀の承継
葬儀は亡くなった後の話で、本来相続とは別の話、とはいっても、
ご逝去直後に発生する費用であり、相応の支出を要すること、また、ご家族の故人へのさまざまな想いもあって、
案外実務上は争いの種になるのが葬儀、そしてこれに続く祭祀の承継費用のお話です。
一般的な法律相談では、「葬儀費用は相続の話ではないから喪主の負担」などと一般的なご案内を受けることもあるかもしれません。
家族を残して亡くなる方のためにも、残された方のためにも、
争いごとが起きずに、あるいは起きても少なく済むように、
相続の準備をし、また発生した相続のことについてご相談に応じるのが私たち弁護士です。
どのようなことでも、ぜひお気軽にご相談いただけたらと思います。
葬儀は亡くなった後の話で、本来相続とは別の話。
とはいえ、ご逝去直後に発生する費用であり、相応の支出を要すること、また、ご家族の故人へのさまざまな想いも重なるので、実務上は案外「争いの種」になるのが葬儀と祭祀の承継費用なのです。
一般的な法律相談では、「葬儀費用は相続の話ではないから喪主の負担」などと一般的なご案内を受けることもあるかもしれません。
家族を残して亡くなる方のためにも、残された方のためにも、争いごとが起きずに、あるいは起きても少なく済むように、相続の準備をし、また発生した相続のことについてご相談に応じるのが私たち弁護士です。
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