COLUMUN
法律コラム

代表弁護士の水谷です。
世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
ジャニーズ事務所の性加害問題の続編です。(前回記事はこちら)
一連の性加害事件を受け、故ジャニー喜多川氏の姪であった藤島ジュリー景子社長から、所属タレントの東山敬之社長に変更になりました。
社長交代、と思いきや、実際は代表取締役にはとどまり、二人がともに代表取締役になるということのようです(会社法上二人以上の代表取締役を設けることも有効です)。
ジュリーさんは被害者の補償の問題にあたるようです。
東山さんが「人類指導もっとも愚かな事件、鬼畜の所業」と発言されたことが注目されました。ご本人もまた所属タレントですから、思い当たるところであろうというお話のされ方でした。
今回は「会社を立て直す」という観点において、弁護士からの見解を述べたいと思います。
一族経営が陥りやすい、内部からの「浄化不足」
本来、本当に会社を内部から綺麗にするのであれば、株主たちで現役の代表取締役を解任して新たな外部の第三者を選ぶべきです。
しかし、今回、ジュリーさんは実際には代表取締役に留任。
これは、藤島ジュリーさんが100%の株式を保有していることが一因しているのかもしれません。
また、会見当日は、亡社長の名前による「ジャニーズ」という社名も変更しないことになったと発表(その後、変更を検討しているとの報道も)
一族による経営は強固な一方で、内部からの浄化作用がはたらかず、このような不祥事の対応には弱い傾向があります。
一方で、東京海上、JALをはじめとして、ジャニーズタレントを起用したCMを擁する大手企業は、軒並み契約解除を発表しました。コンプライアンスの観点によるものです。
これまでもあった上下関係のある閉鎖的な組織での性加害問題
これまでもカトリック教会であったり、ジャニーズ事務所であったり、同一の性別の人間たちが集まり、その中で上下関係が形成される閉鎖的な組織では、性加害問題が生じていました。
ここでの問題は、
①上位者から下位者に対する「権力」を背景とした加害であるという点
②下位者の同性に対する「性的志向を問わずに」、行為が強要されること
③成人の「未成年」に対する加害行為であること
という3点に分けられます。
セクハラ、パワハラにしろ、それがもともと対等な者同士でないときに、一方的加害の問題は色濃く生じるのだと思います。
「児童虐待防止法」が適用できない現法律
大人からの子どもに対する加害行為である、という③については、今回「児童虐待防止法」が適用できないのかということが議論になりました。
結論としては適用てきず。
この法律は、「保護者」から児童による虐待を対象としており、加害者がいわゆる「保護者」にあたらない経済的上位者である場合を想定していなかったからです。
今年の6月に、元タレントさんたちが、これについて改正を求める署名を集めて国会に提出しました。
これに関連する法案を、立憲民主党が衆議院に提出しましたが、政府・与党は、今の国会での法改正を見送る方向で、かわりに性被害問題の再発防止に向けた取り組みを強化する方向です。
その後、9月の内閣改造では、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)に加藤鮎子さんが就任しました。
日本社会全体を揺るがす今回の問題ですが、どのように着地するのでしょうか。
引き続き、今後の動向を見守りたいと思います。
お困りごとは弁護士へ相談ください
弊所では弁護士事務所には珍しい、オンライン予約システムを導入しております。
サロン予約のように、ご希望の相談メニューとご都合の良いお時間帯をお選びいただけると好評です。
こちらのページにあります「ご予約・お問い合わせはこちら」よりご予約ください。
もちろん、お電話でもご予約承っております。お電話での弁護士へのご相談は…℡03-3709-6605
法律的な見解はもちろんですが、さらにその一歩、相談者さまの人生に寄り添った形でお話させていただいております。
ご相談がありましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。
- 「共同親権」(共同監護)のこと
- 養育費不払い問題、民法改正なるか?
- 面会交流「会わせたくない」「会わせてくれない」が錯綜する理由
- 弁護士が家事事件をあつかう、ということ
- 離婚時に父親が親権をとる、その理由とは
- 長引くコロナ禍、結婚式キャンセルに関する新たな業界指標が発表
- 子の父を決める「嫡出推定」の民法改正について。離婚弁護士がこれまでの矛盾を解説
- 140年ぶりの民法改正。弁護士が読み解く「18歳成人の春」はいかに
- 葬儀費用は誰が出すのか? 遺産から負担できるのか
- 「不倫」と社会的・法的責任について。「既婚男性との間で妊娠」で社長辞任…の衝撃
- 「テラスハウス」の事案にみる、名誉棄損と侮辱について
- 法律で考える、ジャニーズ元社長の「性加害」問題
- W(ダブル)不倫は珍しくない?! 身の回りで起こってしまった時、慰謝料請求で注意すべき点とは
- 知っているようで知らない「ストーカー規制法」について
- 「ストーカー規制法」警察に動いてもらうためにも、弁護士に相談したほうがいい理由
- 逆転勝訴から考える、「性自認」と「性的指向」の話
- 東京家裁、福原愛さんの「子の引き渡し」審判から読み解く「共同親権」について
- ビッグモーター社事件で感じる違和感と、刑事・民事の責任の所在とは
- 日大アメフト部の薬物事件をめぐって、法律家の見解
- ハル・ベリーの離婚がから考える、双方が平等に監護する「交代監護」とは
- 「共同親権」導入に向けて、法制審議会にて一歩前進
- 法律で考える、ジャニーズ元社長の「性加害」問題・続編
- 日本での「無戸籍問題」をめぐって
- ジャニーズ「社名変更」なるも、法人格は「そのまま」という事情
- 「性同一性障害」の手術要件で、最高裁の下した判決について
- 「面会交流アプリ」利用について、離婚弁護士が思うこと
- 芸能人のスキャンダルと週刊誌報道、「名誉毀損」について
- 共同親権、国会への法案提出見込み
- サッカー日本代表選手の性加害疑惑について、法律家の思うところ
- 「共同親権」の導入、民法改正案を閣議決定か
- 福原愛さん、子どもの監護「共同親権」で和解か
- 2024年4月1日から義務化された「合理的配慮」とは。具体的事例を交えて法律解説
- 共同親権を認める民法改正案が、参院で審議入り
- 「2024年問題」で運送業界はどうなる?事業者側の対応策について
- ついに「共同親権」法案公布。施行は2026年5月までに
- 同性婚のカップルの子の親子関係を認めた初判決について
- 役員の退職金と退職金支給規程について〜宮崎テレビ最高裁判例〜
- 松本さんの名誉棄損訴訟、取り下げに。弁護士による見解解説
- 中居さんスキャンダルからみる「日弁連ガイドライン」の「第三者委員会」とは
- 中居氏とフジテレビ問題、第三者委員会報告書と守秘義務解除について
- 共同親権導入まであと1年。親権者の決定は「監護の実績」の有無で決まる
- 2025年
- 2024年
- 2023年
- 2022年
- 2021年
- 2020年
- 2019年
- 2018年
- 2017年
- 2016年
ご予約・お問い合わせ・オンライン相談
「事業や人生に寄り添った仕事がしたい」
そんな熱い思いを胸に全力を尽くして
取り組んでおります。
まずはお気軽にご相談くださいませ。