デジタル化の壁 ―スタートアップ成長期の企業が直面するDX導入と法務リスク | 法律コラム | 弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

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2025.09.02 | Vol.299

デジタル化の壁 ―スタートアップ成長期の企業が直面するDX導入と法務リスク

【スタートアップ企業が知っておくべきこと】

弁護士の藤間です。

創業以来、ありがたいことに多くのスタートアップの会社様と共に成長させていただきました。


日々の業務の中では、企業様の内部に深く関与させていただくことも多く、CLO(Chief Legal Officer)として、経営・財務・労務・ガバナンスなど、様々な論点に法的視点から伴走させていただいております。


日々、法的アドバイスなどをする中で、スタートアップの経営者さまに知っておいてほしい基礎知識をシリーズでお伝えします。


とりわけ最近、成長過程にある企業で急増しているのが「デジタル化」にまつわるご相談です。


DX、クラウド導入、チャット運用、SaaSサービスの契約など、一見すると“業務改善”に見えるこれらの動きが、実は法務リスクや契約リスクを内包していることに、後から気づかれる企業様も多いと感じています。

 

DX化を進める上で、確認すべき契約内容

DX導入は「システム契約」だけではありません。


例えば、SaaS型のCRMや会計ソフトを導入する場合、ベンダーから提示される契約書に目を通さず「とりあえずサインしておく」という判断が後の大きなコスト要因になることもあります。


利用期間、自動更新、解約条件、知的財産権の帰属、海外サーバーの所在など、確認すべき契約条項は多岐にわたります。


特に、海外ベンダーとの契約では準拠法が外国法、管轄裁判所が国外とされているケースが多く、法的トラブルが発生した際に国内で対応できない構造になっているリスクもあります。

 

DX化にともなうさまざまな法的リスク

加えて、情報漏洩リスクや個人情報保護法違反のリスクも見逃せません。


例えば、無料のチャットアプリで顧客名簿や契約情報を共有した結果、誤送信や情報流出に至る事例は少なくありません。


このようなケースでは、漏洩報告義務、第三者調査、顧客への説明対応など、事後対応に膨大なコストと時間がかかることになります。


また、テレワークの普及により、勤怠管理や労働時間の実態が見えにくくなっているという声もよく聞きます。


「在宅だから評価が難しい」「チャットが24時間稼働していることで“隠れ残業”が増えている」など、労働法や労基署の監督実務に照らしてグレーな運用がなされていることも多々あります。

 

弁護士が橋渡しできる、5つのデジタル化支援

弁護士としては、次のような支援を通じてデジタル化と法務の橋渡しを行っています。


  • SaaS契約、クラウド利用契約等のリーガルチェック
  • 個人情報保護規程、情報セキュリティポリシーの整備
  • チャット・クラウド利用の社内ルール作成と従業員研修
  • テレワーク制度に対応した勤怠・評価制度の見直し
  • デジタル導入に付随する外注契約や業務委託契約の整理


実際、CRMツールの契約見直しにより、毎年500万円の無駄なライセンス料を削減できた例もあります。


また、IPOを目指す企業において、DXを“基幹事業”のように構造化しすぎたために、証券会社や監査法人から「事業の継続性・独立性に疑義あり」とされ、上場準備がストップした例もありました。


特定ベンダーやツールに業務を深く依存していると、継続可能性や情報統制に関するリスクが高まることになります。


その結果、外部から「このビジネスはツールが止まれば止まるのでは」と評価されてしまい、中長期的な企業価値にネガティブな影響を与えかねません。

 

導入を進める事業部門と、法務を守るバックオフィスが連携を!

デジタル化の推進は、攻めと守りの両輪で進めるべきです。


導入を進める事業部門と、法務やガバナンスを担保するバックオフィスが連携し、社内外のリスクを丁寧に洗い出した上で、ツール選定と契約交渉を行う体制を構築することが求められます。


経営判断のスピードを維持しながら、リスクに強い組織を築くために、法務が果たす役割は今後ますます重要になると感じています。


今後の成長フェーズにおけるデジタル戦略を支える一助として、法務の伴走をご検討いただければ幸いです。

 

お困りごとは、弊所弁護士へご相談ください

弊所では弁護士事務所には珍しい、オンライン予約システムを導入しております。


サロン予約のように、ご希望の相談メニューとご都合の良いお時間帯をお選びいただけると好評です。


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