COLUMUN
法律コラム

弁護士の藤間です。
日々、中小企業さまの事業承継・M&Aに関する法的アドバイスなどをする中で、中小企業の経営者さまに事前に知っておいてほしいM&A・事業継承の基礎知識をシリーズでお伝えします。
最新ニュースとして、日本経済新聞は次のように報じています。
「中小企業のM&A仲介に資格制度 26年度、トラブル防ぎ市場活性化」
この記事によれば、2026年度にもM&A仲介業務に対して資格制(国家または民間による認定)が導入され、ファイナンシャルアドバイザーやM&A仲介事業者に対して財務・法務・税務などの専門知識と倫理順守が求められるようになる見通しです。
この制度は、中小企業をめぐる仲介トラブルの防止と市場の信頼性向上を目的とし、弁護士の関与がより重要になる時代の幕開けを告げています。
今回はこのM&Aにおける「仲介の資格制」導入について解説いたします。
なぜ仲介契約が資格制になるのか?
中小企業M&Aでは、不透明な仲介が原因で売主・買主双方が被害を受けるケースが散見されています。
例:高額な成功報酬や、虚偽・誇大な広告による誤認誘導など
資格制の導入により、仲介者にはM&A全体を通じた専門能力と法令順守の義務が課され、悪徳業者の排除や質の向上が期待されているのです。
弁護士の関与が「必要かつ有益」な理由
(1) 仲介契約の締結・内容設計における法的支援
資格者向け契約では、手数料体系や業務範囲、守秘義務などが法律に基づき詳細に定められる必要があります。
弁護士は、これらの契約条項が「不当な利益誘導」や「情報隠蔽」を招かない形で設計されているかを事前確認・修正できます。
(2) 倫理基準の順守を構造的に担保
新制度では、資格者に対し倫理規定の順守義務が課される見込みです。
弁護士は、自社に倫理規定や懲戒制度を導入し、コンプライアンス体制を構築、または外部監査や内部相談窓口の設置などを設計できます。
(3) トラブル予防策としてのリスクヘッジ
売主・買主から契約解除・損害賠償請求されるリスクに備え、免責条項や仲裁条項を交えた契約書作成支援が可能です。
さらに、不当表示(広告・説明ミス)に対する消費者契約法や景表法などのリスクも回避できます。
弁護士をどう活用すれば円滑な承継につながるか
1. 資格移行期の契約見直し
現在の仲介契約に、資格要件・倫理順守義務・報酬体系などの条項を追加し、新制度に対応した文言にアップデート。
2. 内部統制の導入支援
組織内に倫理規定や報酬開示ルールを整備し、違反時の対応フローを構築。社員研修や内部監査の体制も法的設計できます。
3. 契約過程でのリアルタイムチェック
LOI(基本合意書)・DD(デュー・ディリジェンス)契約・株式譲渡契約等の各ステージで、条項の法的妥当性・整合性をチェック。
4. 紛争発生時の対応策準備
初期段階で苦情処理フロー・ADR手段(任意調停や仲裁)の導入を支援し、トラブル時の被害拡大を抑止します。
弁護士が介在することで得られる副次的メリット
- 買い手・売り手双方に安心感を与えることで、仲介会社自体への信頼が向上。
- トラブル未然防止の姿勢を市場にアピールできるため、新規案件獲得にも有利。
- 新制度施行後に認定資格を持つ形で、合法且つ倫理的に事業拡大を図る備えとなります。
仲介契約が資格制になることで、M&Aの質や透明性が飛躍的に高まります。
同時に専門家による法務サポートは不可欠となります。
安心して会社を承継させたいとお考えの経営者様には、ぜひ弁護士との共創をご検討いただきたいと思います。
次回は、いよいよM&Aの実行段階に入り、契約交渉や条件調整における弁護士の実践的な支援について取り上げていきます。
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