COLUMUN
法律コラム

家事裁判を得意としている水谷弁護士によるコラム【離婚への道】。
これまでは離婚への手続きや方法などをお伝えしてきましたが、ここからはより具体的な離婚事由について。
「性格の不一致は離婚事由なんですよね?!」「モラハラで離婚できますよね??」
こう言った事例を出しつつ、「これって離婚できますか?」というお問い合わせが非常に多いのが現状です。
「私の離婚請求は、裁判上認められますか?」という意味合いでしたらお答えすることができますが、多くの方はそういった意味では聞いておらず、「相手は離婚に応じるでしょうか?」という真意であることがほとんど。どんな事由であれ、相手と合意できていれば離婚はできるのです。
離婚について合意がとれていない場合に、「法律上離婚できるか」=裁判上離婚請求が認められるか、がはじめて問題になります。
そこで裁判上認められる5つの事由について、それぞれ解説してまいりました。
不貞(記事はこちら)や生死不明・強度の精神病(記事はこちら)、そして今回は5号にあります「婚姻を継続し難い重大な事由」について。
一体、どう言った事由なのでしょうか。
婚姻を継続し難い重大な事由とは?
継続し難い、これは典型例は長期間の別居をいいます。
①婚姻関係が完全に破綻
②回復の見込みがない
というようなレベルでの破綻が必要となります。
性格の不一致やモラハラなども原因の一つとはなりますが、それだけでは決定打とならず、一定期間の別居と相まって婚姻破綻とみられることが多いです。
個別の事案は裁判官の判断によるほかありませんが、婚姻中における両当事者の行為や態度、婚姻継続の意思の有無、子の有無、子の状態、双方の年齢や健康状態、性格職業、資産収入など、婚姻関係にあらわれた一切の事情を考慮して定められているとされています。
よくいう「性格の不一致は離婚原因」というのは、性格の不一致が離婚の理由に当然なりうるという意味であって、「性格の不一致=離婚裁判で勝てる」ということではないのです。
Q.性格の不一致は離婚原因になるの?
A.離婚原因の主張として最も多いものと言えますが、この性格の不一致だけでは「婚姻を継続し難い重大な事由がある」とは言えません。各項目に共通して言えるのは周辺の事情を見て、離婚を認めるかどうかが判断されます。性格の不一致から派生した亀裂が深刻化し、お互いに愛情が喪失したばかりか、激しい口論なども日常茶飯事となり、到底夫婦関係が修復される見込みがないことを、様々な事情をあげて、証拠も添えて主張・立証することが必要でしょう。また、ほかの離婚原因(長年の別居など)と合わせて主張するなどの工夫も必要でしょう。
Q.他にも重大な事由となり得る具体例は?
A.可能性がある具体的な事案は以下の通りです。
・日常的に度重なる暴力や虐待、侮辱
・過度な飲酒、賭博を重ね、勤労意欲にかける
・同性愛や性交不能であることを秘密にして結婚した
・相手の嫌がる特異な性交渉を強要
・親族との不仲が原因で夫婦関係に亀裂が入った場合
・家庭を顧みないなど、過度な宗教活動
・犯罪行為による服役
・浪費、金銭問題
・セックスレス
単体で判断されるのではなく、様々な事情を考慮して判断されることになります。例えば、浪費については、夫婦間でなんども話し合いがされたにも関わらず、浪費が続いたような事情が必要とされますし、セックスレスも法律上の離婚原因となることはありませんが、様々な事情を考慮して判断されます。
しかし、お互いの努力や妥協などによって改善されると判断されれば、離婚は認められませんので、何が何でも離婚したい場合には、破綻している夫婦関係と、改善不可能であるという立証が必要となります。
Q.別居は婚姻を継続し難い重要な事由になる?
A.単身赴任など、正当な理由なく数年にわたって別居しているとなると、夫婦関係は円満でないと推測されます。有責配偶者からの離婚請求でなければ、五年程の別居であれば、夫婦関係の修復の見込みはないと判断され、「婚姻を継続し難い重要な事由」に当たるとされるでしょう。
Q.有責配偶者からの離婚請求の場合は?
A.離婚は認められる余地があるというものの、相当厳しい条件が要求される場合があります。(10年間の別居であっても否定された例もあり)逆に、有責配偶者が離婚請求される場合には、比較的短い別居でも離婚が認められる傾向があります。しかし離婚が任用されるために別居期間に決まりはありません。
Q.明確な離婚事由がない場合は?
A.「性格の不一致」など明確な原因がない場合は、相当期間の別居も理由として「離婚を継続し難い重大な事由」が存在するとして、離婚の請求をすると認容される可能性は高くなります。
Q.悪意の遺棄と言われないようにするには?
A.相当期間の別居が「離婚を継続し難い重大な事由」の判断に有益だとしても相当な理由なく別居する場合には、「悪意の遺棄」とされる可能性もありますので、その点についての注意は必要です。具体的には、相手方の暴力・暴言、ギクシャクしてしまった夫婦関係から距離をおき、冷静に今後のことを考えてみたい、などといった正当な理由を明示し、さらに婚姻費用を払う側であれば、算定表に基づく金額の支払いを継続するなどの措置を講じておくことが望ましいでしょう。
ほかにも離婚事由となり得る具体例は、以下の通りです。
・日常的に度重なる暴力や虐待、侮辱行為がある場合(精神的、肉体的DV)
・過度な飲酒、賭博を重ね、勤労意欲に欠けている場合
・同性愛や性交不能であることを秘密にして結婚した場合
・相手の嫌がる特異な性交渉を強要する場合
・親族との不仲が原因で夫婦関係に亀裂が入っている場合
・家庭を顧みないなど、過度な宗教活動がある場合
・犯罪行為による服役があった場合
・浪費、金銭問題
・セックスレス
これらはいずれもこれのみで離婚事由として成り立つというではなく、別居や複数の事情を総合して離婚事由が認定されます。
しかし、お互いの努力や妥協などによって改善されると判断されれば、離婚は認められませんので、何が何でも離婚したい場合には、破綻している夫婦関係と、改善不可能であるという立証が必要となるのです。
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*この記事は2018年12月の記事を再構成しています
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