COLUMUN
法律コラム

弁護士の藤間です。
日々、中小企業さまの事業承継・M&Aに関する法的アドバイスなどをする中で、中小企業の経営者さまに事前に知っておいてほしいM&A・事業継承の基礎知識をシリーズでお伝えします。
前回のコラムでは、後継者不在の中小企業がM&Aを検討すべき3つのタイミングについて解説しました。
今回はその次のステップとして、事業価値の「見える化」について。
中小M&Aにおける「見える化」とは、事業の全体像や収益性・組織・契約関係・法的リスクなどを整理し、第三者にとっても理解可能な形で提示するプロセスを指します。
これは買い手候補に対する信頼の土台となり、スムーズな交渉や適正な評価を得るための重要な準備段階です 。
この事業価値の「見える化」について、初心者の方向けにわかりやすく説明いたします。
見える化すべき項目①:財務情報
まず整理すべきは「財務情報」です。
具体的には、過去3期分の損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書などを整えることが求められます。
これに加えて、売上構成や取引先の集中度、取引契約書の内容など、収益の安定性に直結する情報もあわせて確認しておきます。
見える化すべき項目②:労務管理
「労務管理」の側面も見逃せません。
就業規則や労働条件通知書、雇用契約書、社会保険加入状況、残業代支払いの実態など、労務関連書類を整理し、潜在的なリスクを洗い出すことが必要です。
未払残業代や社会保険未加入といった問題は、M&A後に重大なトラブルにつながるおそれがあります。
見える化すべき項目③:経営者個人の保証や借入状況
さらに、経営者個人の保証や借入状況も「見える化」の一環です。
中小企業では経営者が個人保証を負っているケースが多く、これが承継の障害になることもあります。
金融機関との借入契約や返済スケジュールなどを明確にし、必要に応じて保証解除の交渉を始めておくとよいでしょう。
「見える化」は専門家の力を借りながら、資料を作成
この「見える化」作業は、経営者だけで進める必要はありません。
むしろ、弁護士・会計士・税理士などの専門家と協力しながら進めることで、客観性の高い資料を整備でき、買い手からの信頼も得られやすくなります。
弁護士としては、契約書のチェック、許認可や知的財産の確認、労務リスクの洗い出しなどを通じて、事業の法的健全性を支援します。
必要な資料としては、財務三表のほか、主な取引契約書、就業規則、労働契約書、各種許認可証や商標登録証、借入契約書類などがあげられます。
これらを一元的に管理し、必要に応じて買い手や専門家に提示できる体制を整えておくことが望ましいです。
M&Aの成功の鍵は「準備段階の丁寧さ」
情報が整理され、根拠ある説明ができる企業は、買い手にとって信頼性が高く、適正またはそれ以上の評価が得られる可能性が高くなります。
M&Aの成功には、準備段階の丁寧さが大きな差となって表れます。
次回のコラムでは、見える化で明らかになった課題を改善する「磨き上げステップ」について、より実務的な観点から解説します。
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