COLUMUN
法律コラム

感染は収束をみつつありますが・・・
都内で連日100人を超えた感染拡大。
弊所のある世田谷区は,感染者数が都内最多となり,いっときは戦々恐々としました。
そんな感染拡大も,しだいに下火になりつつあります。
リモートワークが終了し,人の移動が再開する日も,そう遠くないのかもしれません。
そんな中,やはり心配なのが,再度の感染拡大。
従業員がウイルスに罹患したら?あるいはその疑いがあったら?
どうすればいいのでしょうか。
事業者の方向けシリーズ3回目をお届けします。
「感染疑い」のある従業員さんがいる場合
従業員さんに感染の疑いがある方がいるが,PCR検査などで陽性とはまだ判明しない場合。
会社としては,出勤させてその方の健康状態が悪化したり,また周りの方にうつしたりするのが心配なので,
休業を命じることがあると思います。
雇用主が雇用主の判断で従業員にお休みを命じる場合は,本来は全額の給与が支払われなければなりません(民法536条2項)。
就業規則で感染懸念の自宅待機に備えて給与支給額に一定の減額を取り決めたとしても,会社都合の休業命令ということになるので,
「使用者の責に帰すべき事由による休業」として,労働基準法26条により,休業手当として平均賃金の6割以上の給与を払わなければなりません。
なお,雇用者は,従業員に対して,労働契約法5条に基づく「安全配慮義務」(労働者の安全への配慮義務)を負い,労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をしなければならないものとされています。
このことから,万が一,感染者が出たことがわかった場合には,雇用者は,保健所に告知・連携し、経路・接触者の確認、消毒作業や他の従業員に対する周知などの「必要な配慮」をとらなければならないことになります。
従業員が感染した場合
では,従業員さんが実際にウイルスに感染した場合は,どうでしょうか。
新型コロナウイルスは、感染症法上の「指定感染症」です。会社は,感染症法に基づき、都道府県知事が該当する労働者に対して就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなります。
感染症法に基づき都道府県知事より入院の勧告や就業制限がかけられた労働者については、当然会社に就業させることはできません。
ただし,コロナウイルスは,労働安全衛生法68条(「事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。」)に基づく病者の就業禁止の措置の対象とはされていません。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q6-1
この場合であれば,労働基準法26条「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、会社から休業手当を支払う必要はありません。一方,健康保険(協会けんぽ)に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2が補償されます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-2
雇用されているが社会保険の適用外である方,自営業者の方など,国民健康保険加入者の方はどうなるでしょうか。
従来,国民健康保険の方には,病気で仕事を休んだ場合の「傷病手当金」はありませんでした。
しかしながら,今回,コロナウイルス罹患の場合には,国民健康保険であっても,「傷病手当金」が出ることになりました。
https://www.mhlw.go.jp/content/000612737.pdf
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