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法律コラム

都や県からの新型コロナウイルスの感染拡大防止の協力要請を受け、飲食店の営業時間が大幅に短縮されたり、ジムなどが閉鎖されています。前回から引き続き、事業者の方向けに。従業員への対応について解説いたします。
給与を絶たれた従業員側が受けられる補償は…
やむ無く、給与を絶たれた生活者に向けては、1人一律10万円の給付(特別定額給付金)のほかにも、子育て世帯への子ども1人あたり1万円の臨時特別給付金、3〜9か月の家賃補助を行う住宅確保給付金、国民健康保険料や納税・公共料金の支払い猶予の制度があります。
また、全国の社会福祉協議会が単身で65万円、2人以上の世帯で90万円までの緊急小口資金、総合支援資金の貸し付けも行っています。
内閣府のサイトが非常にわかりやすくまとめています。(内閣府:新型コロナウイルス感染症に伴う各種支援のご案内)
リストラ解雇は容易にはできないので注意
休業の要請があってなお、事業者向け、従業員向け、いずれも、単身の方はおろか、ご家族がある方には特に、政府からの補償では到底足りないというのが実情かと思います。
今回のことを受けて事業者側が、従業員を「整理解雇」(リストラ)するのには、さらに高度な配慮が必要ですので、決して安易に判断されず、必ず専門家の判断を仰いでください。
経営環境の悪化を理由とする人員の解雇は、
①人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること
②配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと
③整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること
④労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと
のいずれの要件をも備えることを必要とし、これがないと解雇権濫用となります(労働契約法16条)。
有期雇用の従業員を雇い止めることについても、更新されることに合理的期待がある契約については、申込みを拒絶することに客観的、合理的な理由がなく、社会通念上相当といえない場合には雇い止めは認められず、正社員の場合と同様の配慮が必要です(同19条)。
このようにみてきますと、緊急事態宣言下で営業の縮小、停止を余儀なくされた事業者様にとって、家賃と賃金の負担は極めて重く、従業員に全額の給与(あるいは6割までの休業手当)を支給継続できるよう、迅速に雇用調整助成金を支給し、
かつ、事業所家賃について国が保証する仕組みなどを整えることのほうが重要であったように思われてなりません。
1人10万円一律の特別定額給付金や、マスクの支給が先行してしまったのは、非常に残念なことです。
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