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法律コラム

モラハラ=モラル・ハラスメント、という言葉が、ここ10年で市民権を得た気がします。芸能人による離婚騒動で口にしてからでしょうか。
しかし、「モラハラは離婚事由になり得るか」はちょっと悩む質問です。なぜなら、何がモラル・ハラスメントなのかが定義はないからです。
同様に弊所でよく聞かれるのが「セックスレスも離婚事由になるのか」というご相談。
今回はこの「モラハラ」と「セックスレス」について、多くの家事裁判を担当してきた弊所代表・水谷弁護士が、改めて離婚への基礎知識をシリーズで解説します。
「モラハラ」が重要なのではなく「あなたが何をされたかどうか」
「誰のおかげで飯食ってると思ってるんだ!」これは立派なモラハラの一例でしょう。
しかし、時折そうは言うけれども、ずっと同居していて、総体として夫婦関係は安定していた…、というような場合には離婚の理由とはなり辛いでのが実情です。
一方で、同居こそはしているけれども、長年に渡って無視や罵詈、雑言みたいな場合には、離婚に至る理由になり得るでしょう。
微妙な場合には、「別居という破綻の事実と相まって、離婚事由になる」とご説明することが多く、実際に裁判所もそのように判断をしていることが多いようです。
大事なのは、「モラハラ」という言葉ではなく、「あなたがいつどのようにどんなことをされたのか」ということ。
モラハラ(+それによる別居)が結婚関係を破綻させていて、回復余地をなきまでにしているかどうか、ということになります。
家庭生活の中ではなかなか個別の事情を思い起こせないことも多いのですが、日々のことを細かく日記につけている方などは、その日々の吐露がとても重要な証拠になることもあります。
「セックスレス」は離婚事由になるのか
セックスレスを理由に「別れたい」というご相談は多くありますし、そのこと自体はごくごく自然なことかと思います。
実際に、離婚訴訟などの際も、裁判官や代理人弁護士などに質問されることが多い事項です。それ自体が離婚事由になるからというよりも、これは性生活があったか・なかったか、これが婚姻の破綻の判断に影響するからだと思います。
実は、性生活がないことは夫婦の破綻を意味するものであるという裁判例はそれなりに存在しています。
なお、昭和37年のころから、最高裁は、「婚姻が男女の精神的・肉体的結合」であるとして性生活がなかったことを婚姻関係の破綻の一事情としてみてきました。
これを次いで、京都地裁昭和62年5月12年判決(判例時報1259号92頁)は、明白に、「婚姻が男女の精神的・肉体的結合であり、そこにおける性関係の重要性に鑑みれば、病気や老齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の合意があるような特段の事情のない限り、婚姻後長年にわたり性交渉のないことは、原則として、婚姻を継続し難い重大な事由」だとしており、類似の判断は最近の裁判例でもなされています(東京家裁立川支部令和01年06月27日判決)。
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