【新型コロナウィルス対策・旅行&レジャー編】こんな時どうすれば? | 法律コラム | 弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

COLUMUN

COLUMN
2020.03.22 | Vol.81

【新型コロナウィルス対策・旅行&レジャー編】こんな時どうすれば?

型コロナウィルスの影響が止まりません。身の回りの様々な契約上のことでも支障が出てきています。具体的なご相談がある中で、いくつかQ&A方式でお答えいたします。

 

海外旅行をキャンセルにしたいのだけど…

Q1
コロナウイルス感染が懸念されるので海外旅行をキャンセルしました。
キャンセル料は旅行会社の規定通りに払わなければならないのですか。

 

A1
この場合はあくまで自分都合でのキャンセルになりますので、約款上のキャンセル料の定めに拘束されます。国土交通省が定める旅行業法に基づく標準旅行業約款によりキャンセル料の上限はあらかじめ決まっています(海外旅行は出発1か月から20%)が、それ以外の約定は各旅行会社、航空各社、宿泊先によります。
ただし、今回は、大手旅行会社が、コロナウイルスを理由とするキャンセルの場合にはキャンセル料を取らず全額払い戻しに応じるケースがみられるようになりました。
また、最近では、旅行者がやむなくキャンセルをせざるを得なくなった場合に備えて旅行者のためにキャンセル料を予め保証する保険商品(旅行キャンセル保険、チケットガード保険)もあります。

 

旅行先が日本の受け入れを拒否、キャンセル料はかかる?

Q2
コロナウイルス感染拡大のため
①受入国が日本人の受け入れを禁止し、または②日本政府が出国を禁じたために海外旅行に行くことができなくなりました。キャンセル料はかかりますか。

 

A2
この場合は、天変地異による不可抗力による解除(この場合は、旅行者のみならず、旅行会社・航空会社・宿泊施設の双方から解除ができます)ということになるので、前述の標準旅行約款によっても、払い済みの全額が戻ります。
なお、標準旅行業約款とは、旅行業法に基づき、旅行会社と旅行者が交わす旅行契約に関し、観光庁および消費者庁が定めた約款のモデルです。旅行会社は旅行業約款を定めて観光庁長官の認可を受けなければならないところ、標準旅行業約款と同一の約款を定めるときは、個別の認可を受ける義務を免除されるので、多くの旅行会社がこの約款に沿った約款を採用しています。
国土交通省HP標準旅行業約款
標準旅行業約款16条:天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社 の関与し得ない事由が生じた場合において、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき

 

標準旅行業約款16条:天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社 の関与し得ない事由が生じた場合において、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき

スポーツジムがクローズに。月額費はどうなる…?

 

A3ジム側が感染を懸念し自らクローズした場合についてまず考えます。
ジムから顧客との継続利用契約を解除しているわけではないので、本来月額利用料はそのままです。
でも,ジムは利用させる権利を提供できていない。そうすると,施設維持費を除き,利用料部分は支払う必要がなくなります。
ジム側が利用権を別の月に振り替えたりすれば,月額利用料をそのまま課金することも理論上は可能ではあります。
クローズすることがやむを得ない事態に至った場合はどうでしょうか。つまり自らクローズというより「履行不能」である、とみなされれば、民法536条1項にいう「債務者主義」で反対債務である支払い義務も消滅する余地はありますが、何が履行不能かは微妙な判断を伴います。
実際、今の日本の憲法では、国民の営業の自由を保障されていますから、行政が営業について強制的に停止をすることが、個別の業法に規定がない限り、行政の強権の一存ではできません。そのため、「自粛を要請」という報道が相次いでいるのです。そうなると、「履行不能」といえるのかどうか、微妙な場合も起こりえます。★4月7日に緊急事態宣言が出されたことから,これについて新たに検討したものを後日再掲しています★
あくまで民法は任意規定ですから、当然、それでもなお返金はしないという契約は、契約自体は可能です。
ただし,消費者契約法の問題が残ります。
顧客が感染懸念でジムを使用しない、という場合はまた異なります。
これも、契約解除しているわけではないので本来利用料支払いはそのままです。
契約解除を自ら行えば、ジムの規約に基づいて利用料金が精算されます。
規約がなければ解約の効力や将来に向かって発生しますから、当然解約までの分のお金は戻りません。
このように、コロナ関連だからといって、必ずしも全額返金とは限らないのですね。

 

A3ジム側が感染を懸念し自らクローズした場合についてまず考えます。
ジムから顧客との継続利用契約を解除しているわけではないので、本来月額利用料はそのままです。
クローズすることがやむを得ない事態に至った場合はどうでしょうか。つまり自らクローズというより「履行不能」である、とみなされれば、民法536条1項にいう「債務者主義」で反対債務である支払い義務も消滅する余地はありますが、何が履行不能かは微妙な判断を伴います。
実際、今の日本の憲法では、国民の営業の自由を保障されていますから、行政が営業について強制的に停止をすることが、個別の業法に規定がない限り、行政の強権の一存ではできません。そのため、「自粛を要請」という報道が相次いでいるのです。そうなると、「履行不能」といえるのかどうか、微妙な場合も起こりえます。
あくまで民法は任意規定ですから、当然、それでもなお返金はしないという契約は、契約自体は可能です(消費者契約法の問題は残ります)。
顧客が感染懸念でジムを使用しない、という場合はまた異なります。
これも、契約解除しているわけではないので本来利用料支払いはそのままです。
契約解除を自ら行えば、ジムの規約に基づいて利用料金が精算されます。
規約がなければ解約の効力や将来に向かって発生しますから、当然解約までの分のお金は戻りません。
このように、コロナ関連だからといって、必ずしも全額返金とは限らないのですね。

Q4
感染拡大の懸念でライブが中止になりました。
チケット代は返金されますか。

 

A4
この場合も、契約解除しているわけではないので本来チケット料の支払い義務は消滅しません。つまり当然に返金があるものではありません。
前述同様、行政からの中止命令などやむを得ない履行不能とみなされれば、債務者主義で反対債務である支払い義務も消滅する余地はありますが、現行ではその判断は難しいところ。
いずれの場合も、契約による取り決めが可能だから返金しない定めは、消費者契約法の問題を除いては可能です。
したがって、払い済みチケットは、開催しない場合には返金します、という規程がない限り、必ずしも返金されないことになります。

 

一方、ファンが自ら感染懸念でライブに行くのを止める場合。
基本的に、チケットを購入したら、キャンセル、つまり契約解除を自らしたとしても、規約上払い戻し不可になっていることが多いはずです。
仮にそのような規約がなかったと考え、解除の効力が遡って発生し、そのために代金支払い義務が消滅したと考えてもなお、予約シート代相当額の相手の損害を賠償しないといけないことになります。したがって、いずれにしても、全額の戻りは得られないことになります。

 
03
May
2020
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

CONTACT US

「ご相談者様の明日の幸せのために」
「事業や人生に寄り添った仕事がしたい」
そんな熱い思いを胸に全力を尽くして
取り組んでおります。
まずはお気軽にご相談くださいませ。